今回は、近年増えている「アイアンのストロングロフト化」について解説します。
最近のアイアンは、ひと昔前と比べてかなり飛ぶようになっています。
「7番アイアンなのに、昔の5番アイアンくらい飛ぶ」
「同じ番手なのに、今のアイアンの方が明らかに距離が出る」
このように感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
その背景にあるのが、アイアンのストロングロフト化です。
ストロングロフトとは、簡単にいうと、アイアンのロフト角を従来よりも立てる設計のことです。
ロフト角を立てることで、ボール初速が出やすくなり、飛距離が伸びやすくなります。
しかし、ストロングロフト化は単なる「飛距離アップ」の話だけではありません。
結論からいうと、ストロングロフトアイアンは「飛距離が欲しい方」「やさしく遠くへ飛ばしたい方」には大きなメリットがあります。
一方で、番手ごとの距離感やウェッジ構成が変わるため、クラブセッティング全体で考えることが大切です。
ストロングロフト化により、以下のような変化が起きています。
・7番アイアンのロフトが昔の5番アイアン並みに立っているモデルもある
・PWのロフトが立ち、ウェッジ構成が重要になった
・アイアン選びは番手ではなくロフト角で見る必要が出てきた
今回のテーマは、「アイアンのストロングロフト化について考える」です。
なぜ近年のアイアンはここまで飛ぶようになったのか。
ストロングロフト化にはどんなメリット・デメリットがあるのか。
そして、現代のアイアン選びでは何を基準に考えるべきなのか。
実際のプレーへの影響も踏まえながら、詳しく掘り下げていきます。
・最近のアイアンが飛ぶ理由を知りたい
・ストロングロフトアイアンのメリット・デメリットを知りたい
・飛び系アイアンを検討している
・アイアンのロフト角の見方を知りたい
・ウェッジ構成に悩んでいる
アイアンのストロングロフト化とは?
まずは、アイアンのストロングロフト化とは何かを整理します。
ロフト角とは、クラブフェースがどれくらい寝ているかを表す角度です。
一般的に、ロフト角が大きいほどボールは高く上がり、飛距離は短くなります。
反対に、ロフト角が小さいほどボールは低く強く飛びやすく、飛距離が出やすくなります。
ストロングロフト化とは、同じ番手でも昔よりロフト角を小さくすることで、飛距離を出しやすくする設計のことです。
たとえば、昔の7番アイアンが32度前後だったのに対し、最近の飛び系アイアンでは26度前後のモデルもあります。
つまり、番手の数字は同じ「7番」でも、中身は昔の5番アイアンに近いロフト角になっていることもあるのです。
ゼクシオで見るアイアンのロフト角の変化
代表的なアイアンであるゼクシオのロフト角を見てみましょう。
2011年発売|ダンロップ ゼクシオ7
| 番手 | 3番 | 4番 | 5番 | 6番 | 7番 | 8番 | 9番 | PW |
| ロフト角 | 20 | 22 | 25 | 28 | 32 | 36 | 41 | 46 |
2017年発売|ダンロップ ゼクシオ10
| 番手 | 3番 | 4番 | 5番 | 6番 | 7番 | 8番 | 9番 | PW |
| ロフト角 | - | 21 | 23 | 26 | 29 | 33 | 38 | 43 |
同じゼクシオシリーズで見ても、ストロングロフト化の流れははっきり分かります。
ゼクシオ7の7番アイアンは32度。
一方、ゼクシオ10の8番アイアンは33度です。
つまり、ゼクシオ7とゼクシオ10を比較すると、約1番手分ロフトが立っていることが分かります。
ゼクシオ7の7番で打っていた距離を、ゼクシオ10では8番で打つようなイメージです。
ぶっ飛びアイアンのロフト角を比較
次に、いわゆる「ぶっ飛びアイアン」と呼ばれるモデルのロフト角を見てみます。
2019年発売|ブリヂストン Tour B JGR HF3
| 番手 | 3番 | 4番 | 5番 | 6番 | 7番 | 8番 | 9番 | PW |
| ロフト角 | - | - | 22 | 25 | 28 | 33 | 38 | 41 |
2018年発売|ヤマハ インプレス UD+2
| 番手 | 3番 | 4番 | 5番 | 6番 | 7番 | 8番 | 9番 | PW |
| ロフト角 | - | - | 22 | 24 | 26 | 29 | 33 | 38 |
ブリヂストン Tour B JGR HF3の7番アイアンは28度です。
一方、ヤマハ インプレス UD+2の7番アイアンは26度です。
特にインプレス UD+2は、かなり割り切ったストロングロフト設計です。
7番アイアンのロフト角が26度ということは、昔の5番アイアン相当ともいえます。
7番で5番アイアンのような飛距離が出るなら、たしかに「飛ぶ」と感じやすいです。
キャッチフレーズとして「プラス2番手の飛び」と言われるのも納得です。
なぜアイアンはストロングロフト化しているのか?
では、なぜ近年のアイアンはストロングロフト化しているのでしょうか。
ロフト角だけを見ると、ただ5番アイアンに7番と刻印しているだけではないか、と感じる方もいるかもしれません。
たしかに、番手の数字だけを見ていると、そのように見える面もあります。
しかし、実際には単に番手をずらしただけではありません。
アイアンの製造技術が進歩したから
昔から、5番アイアンは難しいクラブと言われてきました。
ロフトが立っていて、ボールが上がりにくく、ある程度のヘッドスピードやミート率が求められるからです。
しかし、近年はクラブ設計の技術が進歩しています。
ロフト角が5番アイアン相当でも、ボールを上げやすく、やさしく打てるアイアンが作れるようになりました。
重心設計、フェース構造、素材、反発性能などが進化したことで、ストロングロフトでも使いやすいアイアンが増えています。
飛び系アイアンは、単にロフトを立てただけではなく、最新技術を使って「飛んで上がる」ように設計されたアイアンです。
飛び系アイアンへの需要があるから
もうひとつの理由は、飛び系アイアンが売れているからです。
物が売れるのは、そこにニーズがあるからです。
多くのゴルファーは、アイアンにも「やさしさ」と「飛距離」を求めています。
本来、アイアンは飛距離を出すクラブというより、狙った場所に落とすクラブです。
しかし、アマチュアゴルファーにとっては、
・番手を下げて楽に打ちたい
・7番アイアンでしっかり距離を出したい
・アイアンでも飛距離不足を補いたい
というニーズがあります。
この需要に応える形で、ストロングロフトアイアンや飛び系アイアンが増えているのです。
ストロングロフトアイアンのメリット
ストロングロフトアイアンには、以下のようなメリットがあります。
・小さい番手でグリーンを狙える
・飛距離不足を補いやすい
・初心者やシニアゴルファーにもやさしいモデルが多い
・楽に飛ばせることでゴルフが楽しくなる
特に、アイアンの飛距離不足に悩んでいる方にとっては大きな武器になります。
以前は6番アイアンで打っていた距離を、7番や8番で打てるようになれば、心理的にもかなり楽です。
アイアンに苦手意識がある方ほど、飛び系アイアンの恩恵を感じやすいと思います。
ストロングロフトアイアンのデメリット
一方で、ストロングロフトアイアンには注意点もあります。
・ボールの高さが出にくい場合がある
・グリーンで止まりにくく感じることがある
・PWの下の距離が空きやすい
・ウェッジ構成を見直す必要がある
特に重要なのが、PWのロフト角です。
昔のPWは46度前後のモデルが多かったですが、飛び系アイアンでは38度〜43度前後のモデルもあります。
そうなると、一般的なウェッジとの間に大きなロフト差が生まれます。
たとえば、PWが38度で、次に56度のサンドウェッジを入れている場合、18度も間が空いてしまいます。
これでは、100ヤード前後の距離感が作りにくくなる可能性があります。
ストロングロフトアイアンを使うなら、ウェッジ構成まで含めて考えることが大切です。
アイアンのストロングロフト化はゴルフをどう変える?
アイアンのストロングロフト化は、ゴルフのプレースタイルにも影響を与えます。
クラブセットはウェッジが増加する?
ストロングロフトアイアンが普及すると、クラブセッティングの中でウェッジの重要性が高まります。
なぜなら、PWのロフトが立つことで、PWからサンドウェッジまでの距離が空きやすくなるからです。
たとえば、インプレス UD+2のPWは38度です。
これは、昔の8番アイアンと9番アイアンの間くらいのロフトです。
そのまま従来のようにウェッジを2本だけ入れると、短い距離の打ち分けが難しくなります。
そのため、ストロングロフトアイアンを使う場合は、ウェッジを3本入れるセッティングも選択肢になります。
・PW:38〜43度前後
・AW:46〜48度前後
・GW:50〜52度前後
・SW:56度前後
もちろん、最適な構成は人によって異なります。
自分の飛距離差を確認しながら、ロフトの間隔を整えることが大切です。
ショートゲームの重要性が高まる
アイアンがやさしく飛ぶようになれば、グリーン周りまで運ぶことは以前より楽になります。
その一方で、スコアを縮めるためには、アプローチやパターの重要性がさらに高まります。
飛距離の差が道具によって埋まりやすくなるほど、最後はショートゲームの差が出やすくなります。
つまり、飛び系アイアンを使う場合でも、ウェッジとパターの練習は欠かせません。
ストロングロフト化が進むほど、ウェッジ・アプローチ・パターの技術がスコアを左右しやすくなります。
ストロングロフト時代のアイアン選び
では、ストロングロフト化が進む中で、どのようにアイアンを選べばよいのでしょうか。
大切なのは、番手の数字だけで判断しないことです。
「7番アイアンだからこのくらい飛ぶはず」と考えるのではなく、ロフト角や実際の飛距離で判断する必要があります。
・番手ではなくロフト角を見る
・7番アイアンの飛距離だけで判断しない
・PWのロフト角を必ず確認する
・ウェッジとの距離差を考える
・高さが出るか、グリーンで止まるかも見る
アイアンはマッスルバック。
ストイックに道具に頼ることを良しとしない。
そのような考え方もあると思います。
それはそれで、ゴルフの楽しみ方のひとつです。
ただ、もしスコアを出したい、もっと楽に飛ばしたいという気持ちがあるなら、飛び系アイアンのトレンドに乗るのもよいと思います。
道具は進化していきます。
プレースタイルも変化していきます。
自分の本当の目的が「スコアアップ」なら、道具の進化を上手に使うのも立派な戦略です。
まとめ|ストロングロフトアイアンはクラブ全体で考える
今回は、アイアンのストロングロフト化について解説しました。
・同じ7番アイアンでも昔よりロフトが立っているモデルが多い
・飛び系アイアンは単に番手をずらしただけではない
・技術の進化により、ロフトが立っていても上がりやすいモデルが増えた
・PWのロフトが立つため、ウェッジ構成が重要になる
・現代のアイアン選びでは番手ではなくロフト角を見ることが大切
ストロングロフトアイアンは、飛距離不足を補いたい方や、アイアンを楽に飛ばしたい方にとって非常に魅力的な選択肢です。
一方で、ウェッジとの距離差やグリーンで止まる高さなども考える必要があります。
大切なのは、アイアン単体で見るのではなく、クラブセッティング全体で考えることです。
飛び系アイアンを上手に取り入れれば、ゴルフはもっと楽になります。
そして、良いスコアを出しやすくなれば、ゴルフはもっと楽しくなります。
アイアン選びの参考になれば幸いです。