ミズノは、グローバル戦略モデルであるアイアン「JPX 923」シリーズの5機種を2022年9月16日に発売しました。
「JPX」は、ポケットキャビティ構造を中心としたラインアップで、アベレージゴルファー向けに支持を得てきたシリーズ。軟鉄鍛造「ミズノプロ」シリーズとは別コンセプトのアイアンです。
近年では、原英莉花選手や西郷真央選手が使用したことで人気が上昇しています。
今回の「JPX 923」は、「Vシャーシ」と呼ばれる新たなキャビティ構造により、ヒール側のウエイトをトウ側に寄せ、重心をフェースセンターに持ってくることで、左右の打点ズレへの対応を強化。
そしてトップブレードの剛性を高めることで、フェース上部でのミスヒットにも強い。また、これまで採用してきた素材「クロムモリブデン鋼」より強度が高い「ニッケルクロムモリブデン鋼」を採用。フェースやソールをより薄肉化させることで、飛距離性能の向上を図ったということです。
「JPX923」は以下のようなラインナップです。
・HOT METAL・・・・標準モデル
・HOT METAL PRO ・・操作性をプラス
・HOT METAL HL ・・高弾道性能をプラス
JPX923 フォージド・・・フィーリングと飛距離の両立を目指したアイアン
JPX923 ツアー・・・ツアープレーヤーが求めるパフォーマンスを追求したアイアン
一方、スリクソンは、2022年11月19日に「スリクソン ZX5 Mk Ⅱ アイアン」と、「スリクソン ZX Mk Ⅱ ユーティリティアイアン」をから販売しました。
フェース周辺部に配した溝「スピードグルーブ」と最適なフェース肉厚設計の「MAINFRAME Mk Ⅱ」(メインフレーム マークツー)がスリクソン史上最速のボールスピードを実現。優れたボールスピードに加え、外観、スピン、操作性などバランスの取れたオールマイティーなアイアンとなっています。
今回は、「JPX923 フォージド」アイアンと「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンの違いを比較します。
クラブを購入される際に参考になれば幸いです。
「JPX923 フォージド」 アイアンの特徴
「JPX923 フォージド」アイアンの売りとなるテクノロジーを見ていきましょう。
やさしさと心地よい打感の両立「Vシャーシ」
今回の売りとなる新しいテクノロジーです。重量配分を改善しました。
周辺重量配分とセンター重心によるやさしさに加え、ハーモニックインパクトテクノロジーによって設計されたVシャーシがトップエッジ部の剛性をアップ、薄いトップエッジながら心地よい打感を実現しました。
JPX鍛造アイアン史上最高反発を達成
JPX921比較でさらに高反発を達成しています。
高強度のクロムモリブデン(SCM420)を鍛造後、キャビティ部からソール部を掘削するマイクロスロット加工が進化したことにより、フェースネック一体ながら従来品より約15%薄くなったJPX鍛造アイアン史上最薄フェースを実現。高い反発性能と心地よい打感を体感していただけます。
ロングは上がり、ショートは狙える番手別設計
ロングアイアンとショートアイアンの設計を最適化しています。
No.4~6はスロット加工を幅広にする事により深重心でボールを上がりやすく、No.7はスロット幅をやや狭くしNo.8へスムースにつなげるフローマイクロスロット加工を採用。
No.8~GWはマイルドスチール(S25CM)を精密鍛造、ショートアイアンになるほど重心を高くフローさせることで、スピンの効いたコントロールショットを可能にします。
グレインフローフォージドHD
ミズノ独自の鍛造製造方です。
1本の丸棒をフェースからネックまで一体成型するミズノ独自の鍛造製法。打感の生命線とも言える鍛流線(金属組織の流れ)をヘッド内部で途切れさせず、さらに打球部に鍛流線を密集させることで、打球音を長く響かせることができます。
この長く響く打球音によって、ミズノならではの心地良い打感を体感していただけます。
(出典:ミズノ公式HPより)
「ZX5 Mk Ⅱ」 アイアンの特徴
「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンの売りとなるテクノロジーを見ていきましょう。
さらなるボールスピードを追求し、 進化した革新のテクノロジー
飛距離と正確性の両立のテクノロジーです。
さらに進化した「MAINFRAME Mk II」が驚異的なボールスピードを生み出し、
大きな飛距離と正確性を実現。
スリクソン史上最速のボールスピード
反発性能のテクノロジーです。
フェース周辺部に配した溝「スピードグルーブ」と最適なフェース肉厚設計により、
フェースのたわみがさらに大きくなり反発性能が向上。
スピンコントロール性能
溝を番手ごとに設計しています。
最適なスピンを生み出し、状況に応じたパフォーマンスを発揮する「番手別溝設計」であらゆる状況でも安定した飛距離を実現します
卓越した安定性と操作性
ソール形状を改良しています。
ソール形状、バンス角の最適な設計によりインパクト時の抜けの良さがさらに向上した「新・TOUR V.T.SOLE(ツアー ヴィ ティ ソール)」で安定性と操作性が向上しました。
ショットを自在にコントロール
スイング軌道に合わせバンス角を最適設計。さまざまなショットで芝との接触を最小限に抑えることで、キレのある打感とさらなる安定性を発揮します。
(出典:ダンロップ公式HPより)
「JPX923フォージド」アイアンと「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンの比較
クラブのコンセプト
「JPX923 フォージド」アイアンと「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンは以下のようなコンセプトとなっています。
「JPX923 フォージド」アイアン
飛び、打感、やさしさのバランス性能
「ZX5 Mk Ⅱ」アイアン
「MAINFRAME Mk II」がもたらすスリクソン史上最大のボールスピード、シャープなフォルムに、操作性、寛容性、フィーリングすべてを兼ね備えたZX5 Mk II アイアン。
「JPX923 フォージド」アイアンは、やさしい飛び系鍛造アイアンを求めるゴルファーを対象に、ロングアイアンには飛びを、ショートアイアンには打感を追求しています。
一方、「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンは、操作性、寛容性を両立したオールマイティアイアンを強調しています。
デザイン比較
「JPX923 フォージド」アイアン
「JPX923フォージド」アイアンはこのようなデザインです。
ミズノらしいシャープなデザインです。JPX900やJPX919にも少し似ています。
「ZX5 Mk Ⅱ」アイアン
次に「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンはこのようなデザインです。
無駄のないデザインのアイアンです。
「JPX923 フォージド」アイアンと「ZX5 Mk Ⅱ」のスペックを比較
さて「JPX923 フォージド」アイアンと「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンのスペックを比較してみましょう。
番手ラインナップとロフト角
まずはアイアンでもっとも気になるロフト角を見てみます。
「JPX923 フォージド」
番手 | 4番 | 5番 | 6番 | 7番 | 8番 | 9番 | PW |
ロフト角(度) | 21 | 24 | 27 | 30 | 34 | 39 | 44 |
「ZX5 Mk Ⅱ」
番手 | 4番 | 5番 | 6番 | 7番 | 8番 | 9番 | PW | AW | SW |
ロフト角(度) | 22 | 24 | 27 | 31 | 35 | 39 | 44 | 50 | 56 |
「JPX923 フォージド」の方が少しストロングロフトです。
では次に、主に7番アイアンでスペックを比較してみます。
7番アイアンのスペック比較
7番アイアン同士で比較してみたいと思います。
シャフトについては、以下のもので比較します。
・「JPX923 フォージド」アイアンは、ダイナミックゴールド105
・「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンは、N.S.PRO MODUS3 TOUR105 DST
シャフトの硬さは「S」のもの同士で比較します。
項目 | 「JPX923 フォージド」アイアン | 「ZX5 Mk Ⅱ」アイアン |
---|---|---|
ロフト角(°) | 30 | 31 |
ライ角(°) | 61.5 | 62 |
クラブ長さ(インチ) | 36.75 | 37 |
クラブ重さ(g) | 約420(7I) | 約408 (5I) |
シャフト重さ(g) | 103(カット前) | 98.5(5I装着時) |
シャフト調子 | 手元調子 | 中調子 |
フェースプログレッション | 3.4 | 3.5 |
バランス | D2 | D2 |
ロフト角
「JPX923 フォージド」アイアンは30度、「ZX5 Mk Ⅱ」は31度です。
「JPX923 フォージド」は1度、ややストロングロフトです。
ライ角
ライ角は、「JPX923 フォージド」アイアンは61.5度、「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンは62度とわずかに違います。
クラブの重さ
クラブ重量は、カタログ公表数値がなく一概に比較できませんが、参考として以下のようになっています。
「JPX923 フォージド」アイアンの7番420g
「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンの5番408g
シャフトの重量は「JPX923 フォージド」アイアンは103g(カット前)
「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンは98.5(5I装着時)
傾向としては、「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンの方が軽めです。
以下のシャフトで比較しています。
・JPX923 フォージド:Dynamic Gold 105
・ZX5 Mk Ⅱ:N.S.PRO MODUS3 TOUR105 DST
JPX923 フォージドはダイナミックゴールドが標準シャフトになりました。
ZX5 Mk Ⅱは他に以下のシャフトが設定されています。
・Diamana ZX-II for IRON カーボンシャフト
・N.S.PRO 950GH neo DST スチールシャフト
「N.S.PRO 950GH neo DST」 の方が「N.S.PRO MODUS3 TOUR105 DST」よりも軽めです。
シャフト調子
シャフト調子は「JPX923 フォージド」アイアンは手元調子(元調子)、「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンは中調子です。
元調子は、切り返しで手元側がしなることでタメが作りやすいが、その分ボールはつかまりにくいと言われます。ボールを叩くパワーのあるゴルファーには元調子がおすすめと言われます。
中調子は、タメも作りやすく、ヘッドもある程度走る万人向け設定です。
フェースプログレッション
「JPX923 フォージド」アイアンは3.4、「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンは3.5となっています。
両者とも近しい数値です。
バランス
バランスは同じです。
「JPX923 フォージド」アイアンはD2、「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンもD2となっています。
まとめ ~「JPX923 フォージド」アイアンと「ZX5 Mk Ⅱ」アイアン~
今回は、「JPX923 フォージド」アイアン「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンを比較してみました。
私見ですが、カタログからわかるいくつか比較のポイントをまとめてみました。
・「JPX923 フォージド」アイアンは、飛び、打感、やさしさのバランス性能を追求。やさしい飛び系鍛造アイアンを求めるゴルファーへ。ロングアイアンには飛び、ショートアイアンには打感。
・「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンは、優れたボールスピードに加え、外観、スピン、操作性などバランスの取れたオールマイティーなアイアン。
・ロフト角は、「JPX923 フォージド」アイアンの方が少しストロングロフト。
・クラブ重量は「JPX923 フォージド」アイアンの方が少し重い傾向(シャフトの設定による)。
・バランスは、「JPX923 フォージド」アイアン、「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンともD2で同じ。
以上のような特徴ですが、実際に打ってみて自分に合っているかどうか、クラブを気に入るかどうかということが最も大切ですね。
以上、「JPX923フォージド」アイアンと「ZX5 Mk Ⅱ」アイアンの違いをまとめてみました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
スリクソン「ZX5 MkII(マーク2)」と「ゼクシオ12」の違いを比較解説
【アイアン編】「STEALTH」(ステルス)と「ローグST」の違いを比較解説
【アイアン編】「ローグST」と「ゼクシオ12(トゥエルブ)」の違いを比較解説
【ウエッジ編】ミズノS23ウエッジの4種類を比較解説【S・D・C・Xの選び方】