グリップを握る強さはどの程度が理想なのでしょうか?
ゴルファーの中でもさまざな考え方があり、意見が分かれるところです。
特に初心者はグリップはどのくらいの強さで握るべきかについて迷うことも多いと思います。
今回は、ゴルフクラブのグリップを握る強さについて考えてみます。
基本原理 パワーとは「速度×力」
まずは、筋肉の基本原理について確認します。
ボールを遠くに飛ばそうとするためには「パワー」が必要です。
パワーは以下の式によります。
パワー=力×速度
しかし、力と速度は反比例の関係にあります。
つまり、筋肉を速く動かそうとすると力が出せなくなる。逆に力を出そうとすると、速度が出せないということです。
この関係は筋肉の「力-速度関係」と言われます。
出典:[1] Hill, A. V., “The heat of shortening and the dynamic constants of muscle” Proc. Roy. S. B., 126, 36−95, (1938)
このグラフは、最大パワーを引き出すには、適正な速度と力の入れ方が大切ということを示しています。
この関係を知っておくだけで、グリップの握り方についての理解がかなり進むと思います。
グリップを「軽く握る」の本質
よく「グリップはなるべく軽く握る」ということが言われます。
これは、初心者に多くある「アドレス時に強く握りすぎることを防止する」ということなのです。
最初からグリップを強く握っていたら、先に紹介した「力と速さ」の関係から、速度が出ません。
速度が出なければ、クラブを速く振ること、つまりヘッドスピードが上がらないということです。
ですから、最初からガチガチに強く握ることはNGです。
インパクトの瞬間に強く握る
グリップは、最初は軽く握ってインパクトの瞬間に強くと握るイメージです。
スイング時は、緩く握って速度を出しつつ、インパクトの一瞬に力を込める。
このようなイメージでスイングすると最大限のパワーを引き出すことができます。
ヘッドが走る状態を作り出すことができます。
状況によって握る強さを変える
ただ、ゴルフはいつでもフルショットをするわけではありません。
状況によってベストなグリップの握りの強さがあります。
たとえば、アプローチショットなど、逆にパワーを押さえたい場面などがあります。
次から、状況別のグリップの握り方についてご紹介していきます。
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状況別のグリップの握り方
フルショット
フルショットでは、クラブの性能通り飛ばしたい。
また、できるだけ距離を稼ぎたいという場面が多いのではないでしょうか。
飛ばしたいときはパワーが必要です。
ですから「できるだけ軽く握る」のが良いと思います。
アドレス時からインパクトの瞬間までは緩く、インパクトの瞬間は強く握ります。
これで最大限パワーを引き出すことができます。
アプローチ
アプローチの場面では距離よりも正確性です。
コントロールが重要です。
コントロールするためには、ヘッド軌道がぶれてはいけません。
飛ばしたい距離にもよりますが、グリップは「しっかり握る」ということになります。
握る強さを調整して逆にパワーを抑えるのです。
どのくらいの握る強さでどのくらいの距離が飛ばせるのかは練習場で確認しておくとよいと思います。
バンカーショット
バンカーショットでは、グリップを強く握りがちだと思います。
しかしイメージとしては、フルショットと同じく「できるだけ軽く握る」イメージの方がうまくいくと思います。
バンカーショットにはパワーが必要だからです。
そのためにはイメージとしてはフルショットと同じが良いと思います。
バンカーショットでは、グリップは「できるだけ軽く握る」です。
パター
パターはコントロールショットの最たるものです。
ですから、「しっかり握る」のが基本です。
ただし、使い分けが必要で、ロングパットは緩めに握る、ショートパットはしっかり握る。
このように意識しておけば大丈夫です。
ベストな握りの強さを見つけましょう
グリップは軽く握るという人もいれば、ある程度しっかり握るという人もいます。
「パワー=力×速度」ですから、グリップの握りの強さは、それは、どのくらいのパワーを発揮したいかということに帰結します。
握りの強さを変えると、スイングのスピードも変わり、結果としてパワーも変わります。
それぞれの人の筋力や体格により千差万別と言えるでしょう。
自分なりにベストな握りの強さを見つけましょう。
以上、今回はゴルフクラブの握り方についてご紹介しました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。